シリーズ企画「招へい研究者に聞く!!」

シリーズ企画 「招へい研究者に聞く!!」京都大学 Visbal Heidy先生

京都次世代エネルギーシステム創造戦略では、最先端の研究者を国の内外問わず招へいし、研究開発を進めています。
シリーズ「招へい研究者に聞く!!」では、担当コーディネータ(CD)が研究室を訪問し、招へい研究者の先生方に研究内容、近況などをお伺いします。



第3回 京都大学工学研究科材料化学専攻 特定研究員 Visbal Heidy先生
今回ご紹介するのは、「循環型水素源材料の開発」のご担当の京都大学工学研究科 特定研究員のVisbal Heidy先生です。(担当コーディネータの小泉がインタビューしました。)
CD:ヘイディさんはどちらのご出身ですか?
Heidy先生:南米のベネズエラです。

Heidy_1Heidy_2Heidy_3CD:遠くから来られたのですね。何故遠くから日本へ来られたのでしょうか? 日本に来られたのはいつ頃ですか?
Heidy先生:ベネズエラのシモン・ボリバル大学と新潟の長岡技科大学で交換留学制度があったのがきっかけで、学部の時1997年の9月に初めて日本に来ました。一年間の滞在終わった後一旦帰国し、1999年に文科省の奨学金を受け、再び長岡技科大学に来て大学院からドクターコースへ進みました。

CD:日本語が大変お上手ですし、漢字も含めてメールも日本語で自由にやり取りされていますが、どの様に日本語を勉強されたのでしょうか?
Heidy先生:とんでもないことでございます。まだまだです。
最初は、ドラマを見たり、カラオケで日本語を勉強しました。日本の友達との会話も非常に役に立ちました。最初は英語も出来なかった私ですが英語で話しかけられても、とにかく日本語で答えるようにしました。漢字は表意文字なので本来の意味から勉強し、文章を読みたいと言う一心で勉強したのが良かったのかも知れません。

CD:そうなんですね。今回の研究テーマを担当される前は、どんな仕事をされていたのでしょうか?
Heidy先生:卒業後に大阪ガスの受託研究会社で主に表面解析を担当していました。DLC、無機―有機ハイブリッド材料、エネルギー関連調査などを経て、リチウムイオン電池分野に取り組んだのが縁で、サムスンの日本法人で固体リチウムイオン電池の研究をしました。

CD:前の仕事の経験や内容と、現在の研究の共通点はいかがですか?
Heidy先生:前は色々な材料やプロセスを関わってきましたが、全てにおいて共通点が一つにありました。それは“表面”です。特に固体関係のプロセスや反応は表面や界面から始まることが多いでしょう、表面は固体反応の源と言っても過言ではないと思います。化学表面の理解(解析)や制御は必須であると考えています。現在の研究、第二世代ではアルミニウムが水酸化カルシウムと反応するのですが、アルミニウムの酸化状態で反応具合はかなり異なります。第三世代もマイエナイトの表面状態により水素吸蔵や発生が異なると考えています。

CD:固体水素源に関して第一世代、第二世代、第三世代とありますが、それぞれどのようなものなのでしょうか?
Heidy先生:平尾研では数年前から固体水素源の研究を行っており、第一世代は水素化カルシウムに水を加えると水素が発生するシンプルな反応です。原料は長期保存が可能なので、小型燃料電池と組み合わせて、非常電源に向いています。しかし、水素化カルシウムの価格が高いことが難点です。
第二世代は、その水素化カルシウムが反応した後の残渣、水酸化カルシウム簡単に言えば消石灰と、アルミニウムさらに水とを反応させます。基本はアルミニウムと水との酸化反応ですが、普通は表面に酸化被膜ができて反応が進みません。それを消石灰を加えることで、常に表面にアルミが出て、水と反応が進むようにした所がポイントです。
第三世代は、この反応でできたアルミ化合物を改質処理して再び水素を発生させる研究です。

CD:今の研究テーマの内容を簡単に紹介して頂けますか?
Heidy先生:今お話した、第三世代の改質処理に関して、熱処理やフェムト秒レーザ照射、マイクロ波照射など色々と実験を行い、効率的にリサイクル可能な循環型の水素源を開発する研究です。
無駄なく、色々な反応からの残留物を“リサイクル”するコンセプトです。

CD:フェムト秒レーザにはどのような可能性がありますか?
Heidy先生:今のマイエナイトを微粒子化して、表面積が増やせますし、官能基を付加して、水素吸蔵や触媒機能が可能になると考えています。

CD:最近「マイクロ波化学」と言う言葉も聞く様になりましたが、マイクロ波の応用によるメリットはどんな所ですか?
Heidy先生:マイクロ波処理は、高温で長時間の熱処理を行う必要がなく、電子レンジのような電磁波を分オーダーの短時間照射することで、水素を吸着する構造に改質できることが判りました。反応時間の短縮、投入エネルギーが少なくて済むところだと思います。反応温度も低いので、エコで注目を浴びています。

CD:研究成果は論文発表や特許出願もされているのでしょうか?
Heidy先生:現在特許をいくつか出願する準備をしています。論文に関しても何件か出す予定で、一部は既に投稿しています。特に12月のPACIFICHEMはホノルルでの開催なので楽しみです。

CD:羨ましいです。私も出張の認可が出るなら行きたい所ですが、無理でしょうねぇ。
水素社会の実現に関してマスコミでも良く取り上げられるようになりましたが、ヘイディさんはどのように考えられていますか?
Heidy先生:地球温暖化の問題を日々感じています。暖かい冬や異常な雨などの温暖化の進行を防止して、自分の子供達の世代に安全な地球を残して行きたいと思います。そのために水素社会は是非実現して欲しいと思っています。もちろん水素だけで地球を救えると思いません。太陽電池、リチウムイオン電池、蓄電池、水素燃料など様々な選択があって良いかと思います。様々な選択肢がある中で低コスト、安全なエネルギーが提供でき、最終ユーザーは自由に選択できるようになって欲しいのです。
水素社会が今注目浴びているのですが、水素社会と呼ぶまでまだまだ先だと思いますので、水素社会に限らずいろんな再生可能エネルギーが共存することができます。
水素が一部でも地球を救えるのなら、私はその一部の一部でも貢献したいと思っております。

CD:ところで、ヘイディさんはお子さんもいらっしゃるとお聞きしましたが、今おいくつになられますか?
Heidy先生:7才、5才、3才と3人の子供がいます。上の子は小学2年生で学校が終わると学童保育、下の子供たちは保育園なので、仕事が終わると大急ぎで迎えに行きます。

CD:それで仕事が終わったら直ぐに帰られているのですね。子育てと家事、そして研究テーマと大忙しですね。
時々、深夜のタイムスタンプでメールの返信がある理由も判りました。
今日は、どうもありがとうございました。

Heidy先生の研究内容についてはこちら(PDF495KB)もご覧ください。

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